産後に足の甲がパンパンに腫れてしまい、驚いていませんか。
「悪い病気かもしれない」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし多くの場合は、むくみが原因だと言われています。
産後はホルモンバランスの変化などで、身体がむくみやすくなっています。
この記事では、産後のむくみをケアする方法について解説します。
産後のむくみに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
産後にあらわれる体の変化
産後のママの身体は元に戻ろうとするため、さまざまな変化が現れます。
まずは出産で剥がれた内膜や胎盤を排出するため、1週間ほど出血する「悪露」という症状が出始めます。
またホルモンバランスの変化で、抜け毛が一気に増えたり、気持ちが不安定になったりする方もいるでしょう。
その中でも、むくみに悩まされる方が多いです。
むくみが酷くなると靴が履けなかったり、歩くだけで足が痛かったりと日常生活に支障をきたす方もいます。
むくみとは?
むくみは、皮下の「細胞間液」と言われる水分が多くなりすぎることで発生します。
「細胞間液」は動脈から酸素や栄養を届けた後、水分や老廃物を回収して静脈に戻ります。
しかし何らかの原因で血流の流れが悪くなると、水分や老廃物をうまく回収できなくなり、皮下に余分な水分が溜まってしまうのです。
適度に動いている方は血流の流れが良いため、むくみは起こりにくいです。
しかし同じ姿勢を長く続けている場合は、うっ血が起こりやすくなります。
アパレルや飲食業界といった立ち仕事の方が、足のむくみを感じやすいのはこのためです。
適度に姿勢を変えて運動することで、むくみにくくなると言われています。
むくみのセルフチェック方法
むくみは病院に行かなくても、自分で簡単にチェックできます。
「身体がむくんでいるかも?」と感じている方は、チェックしてみましょう。
- 脛の上の部分を、指の腹でぎゅっと10秒間押し続けます
- 2.10秒経ったら、指の腹を離します
- 通常であれば、へこんだ部分はすぐに戻ります
- もし5秒経っても指の跡が消えない場合は、むくんでいると言えます
他にも「足の甲の骨が見えない」「靴下の跡がいつまでたっても消えない」「指輪がきつくなった」といった場合も、むくんでいる可能性が高いです。
またむくみは体の水分が重力で足に落ちてくることから、夜のほうが酷くなります。
朝にチェックして大丈夫でも、夜にはむくんでいるかもしれません。
朝と夜でそれぞれチェックしてみましょう。
産後のむくみの原因とは?
妊娠中に足がむくんでいた方は、産後に足のむくみから解放されると期待していた方もいるのではないでしょうか。
しかし残念ながら、出産後も続けてむくみを感じる方は多いようです。
なぜ産後はむくみやすくなるのでしょうか。
ここでは産後のむくみの原因について、お伝えしていきます。
ホルモンバランス
出産によるホルモンバランスの変化によって、むくみが起きやすくなります。
妊娠中は女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」が増加します。
しかし出産後、この2つのホルモンは著しく減少します。
そのかわりに母乳を作る「プロラクチン」と呼ばれるホルモンが、急激に増えていくのです。
こういった急な女性ホルモンの増減が、むくみの原因になることがあります。
体内の水分量の変化
妊娠中は赤ちゃんへ酸素や栄養を与えるために、体内の血液量が通常より1.5倍ほど増えます。
そして出産すると血液や羊水が一気に体外へ出ていき、体内の水分量が急速に減ります。
体内の水分がいきなり減ってしまうと、体の防御本能が働いて水分を溜め込みがちになるのです。
また産後はすぐに授乳が始まります。
授乳で水分が体外に出てしまうと、体が水分を溜め込もうとするため、むくみやすくなります。
睡眠不足・疲労
出産で疲れているのにも関わらず、ママは身体を休める暇がなかなかありません。
赤ちゃんが2〜3時間ごとに泣いて、授乳をしたりおむつを替えたりするためです。
赤ちゃんを泣きやませるために、立ってあやすことも少なくありません。
産後のママは、なかなかまとまった睡眠時間がとれないでしょう。
睡眠不足で疲労がたまっていくと体内の循環が悪くなり、むくみが酷くなることがあります。
貧血
出産時の出血が多かったり、悪露が出たりする影響で産後は貧血になりがちです。
さらに母乳は血液で作られているため、貧血はますます酷くなります。
血液に含まれる赤血球は、体の隅々まで酸素を運ぶ役割をしています。
そのため貧血になると息切れや倦怠感、むくみといった症状を引き起こしやすくなるのです。
リンパの損傷
出産する時、赤ちゃんは骨盤にあるリンパ節を圧迫しながら、産道をゆっくりと下がってきます。
赤ちゃんの頭の直径は、およそ10cm。
グレープフルーツほどの大きさのものが通るわけですから、リンパへのダメージはどうしても大きくなってしまいます。
また分娩時間が極端に短かったり長かったりする場合も、リンパへのダメージが大きくなる傾向にあります。
リンパが損傷してしまうとリンパ液が体内に漏れ出してしまい、むくみやすくなるでしょう。
姿勢の影響
産後は身体をなるべく休ませなければいけません。
産褥期は里帰りをして、赤ちゃんの世話をする以外はなるべく横になっている方が多いでしょう。
特に帝王切開であれば、通常の分娩よりも安静期間が長くなります。
長時間、横になっていると同じ体勢を続けることとなり、体内の血液の流れが滞ってしまいます。
また授乳は赤ちゃんを抱えながら、同じ姿勢を数分続けなければいけません。
同じ体勢を続けていると血液の循環が悪くなり、体内に老廃物を溜め込みがちになるため、むくみやすくなってしまいます。
産後のむくみはいつまで続く?
むくみがずっと続くと「このままむくんだままなの?」「むくみのない状態に戻るの?」と心配になるかもしれません。
しかし産後から時間が経つにつれて、ママの身体は妊娠前の状態に戻っていきます。
症状のピークは、産後2日目です。
それから約10日〜1ヶ月程かけて、むくみは徐々に治まっていくでしょう。
ただし1ヶ月以上経ってもむくみが全く治まらない場合は、他の病気であることも考えられます。
むくみがなかなかとれない場合は、1ヶ月検診で主治医に相談してみましょう。
産後のむくみをケアする方法
出産は身体に大きな変化をもたらすため、産後はどうしてもむくみやすくなります。
徐々に治まると分かっていても、少しでもむくみを楽にしたいですよね。
ここでは、むくみをケアする方法についてお伝えします。
マッサージする
むくみはリンパに沿って、下から上へマッサージすると効果があらわれやすいです。
ここでは、むくみが起こりやすい足のマッサージをご紹介します。
- マッサージオイルをふくらはぎ全体に塗ります
- 両手でげんこつを作り、中指の関節を少し立たせます
- 中指の関節をふくらはぎの外側に合わせます
- 適度な力で下から上へとマッサージします
- 痛すぎない程度の力でマッサージを行いましょう
マッサージオイルは無添加の赤ちゃんが使えるものを選ぶと、一緒にマッサージできるためおすすめです。
赤ちゃんと一緒に、リラックスした時間を過ごせるでしょう。
また顔や腕など他にも気になる箇所がある場合も、手で下から上へマッサージするのがおすすめです。
ただし顔は手足よりも肌がデリケートなため、マッサージする際は中指や薬指でなでるようにゆっくりと行いましょう。
着圧ソックスを履く
マッサージをする余裕がない方は、着圧ソックスを使用すると良いでしょう。
着圧ソックスは足に強い圧力をかけて、体内に溜まっている老廃物や水分を押し出してくれます。
寝る前に履くだけで効果があらわれるので、気軽に始められます。
産後で疲れている方には、とても便利なアイテムです。
着圧ソックスを選ぶ時は、自分に合ったサイズを見つけましょう。
足首の周囲の長さが近いサイズを選ぶと、心地よい締め付けを感じる方が多いようです。
また着圧ソックスは、昼用と夜用のものもあります。
夜の方がむくみやすいため、夜用は締め付けが少し弱くなっています。
効果を出したいからといって、夜に無理に昼用を履いてしまうと、血行障害に繋がりやすいです。
着圧ソックスは心地よい締め付けを感じるものを着用しましょう。
適度に運動する
適度に運動すると体内の循環が良くなり、むくみが取れやすくなります。
「赤ちゃんのお世話で精一杯で、運動するなんて無理!」と思うかもしれません。
しかしジョギングや筋トレなど、激しい運動をする必要はありません。
赤ちゃんが泣きやまない時、抱っこ紐にいれて歩くだけでも運動になります。
もし余裕があれば、ベビーカーに赤ちゃんをのせてお散歩へ行くのも良いでしょう。
外を歩くと気分転換にもなるので、天気の良い日にお散歩してみましょう。
足を高くして寝る
足の位置を高くして寝ると、足のリンパの流れが良くなります。
寝るときは足の下に、高さ10cmほどのクッションを置いて寝てみてください。
翌朝、むくみが少しすっきりするでしょう。
身体を温める
身体が冷えると、体内の血液の流れが悪くなってしまいます。
そのため身体を温めて、血液の循環を良くしておくことが大切です。
身体を温めるなら、湯船に浸かりたいと考える方がいるかもしれません。
しかし出産後のママは、すぐにお風呂に入ってはいけません。
出産後は子宮口が開いており、そこから湯船の雑菌が入って感染症を引き起こす可能性があるためです。
一般的には医師の許可がおりてから2〜3日後にシャワーが浴びられるようになり、約1か月後にようやく湯船に入れるようになります。
もし体を温めたい場合は、足湯をすると良いでしょう。
また温かい飲み物を飲んだり、腹巻をしたりして身体を温めるのも効果的です。
小まめに水分を摂る
身体がむくんでいるからといって、水分を控えてはいません。
体内の水分不足はむくみには逆効果なので、注意が必要です。
水分が不足すると、体内の循環が悪くなるため、余計にむくみが酷くなる可能性があります。
また膀胱や腎臓にも負担が大きくなります。
産後は母乳を出すことから、水分不足になりがちです。
小まめに水分を摂り、体内の循環を良くして、むくみを解消していきましょう。
食生活を改善する
食生活の乱れも、むくみの原因となります。
特に塩分の過剰摂取は、むくみを引き起こしやすくなります。
なるべく塩分の少ない献立にしたり、減塩調味料を使ったりと工夫しましょう。
またカリウムを摂取することは、むくみの軽減に繋がります。
カリウムは体内の余分な塩分・水分を排出する作用があるためです。
海藻類やバナナ、キウイなどに多く含まれているので、積極的に食べるようにしましょう。
自分の食生活に気を配る余裕がない方は、サプリを使うのもおすすめです。
また最近は栄養バランスのとれた宅配弁当サービスや、食事を作ってもらう家事代行サービスなどもあるので、産後はうまく活用しましょう。
【参考】カリウム
エステへ行く
数か月経っても、むくみが気になったり体型が戻らなかったりする場合は、エステに通うのもよいでしょう。
フェイシャルエステやボディエステを受けるとリンパの流れがよくなるため、むくみにくくなります。
また骨盤矯正で骨盤を正しい位置にもどしてもらうことで、むくみがとれたり痩せやすくなったりする効果を得られることが多いです。
一般的にはフェイシャルエステであれば産後1か月、ボディエステであれば産後3〜4か月すれば施術を受けても良いと言われています。
ただし産後の子宮や骨盤の状態は、人によって違います。
必ず事前に健診を受けて、医師よりエステを受けても大丈夫という許可をもらってから、エステに通うようにしましょう。
まとめ
産後は元の身体にもどろうとするため、ホルモンバランスや体内の水分量に変化が現れます。
そのため身体がむくみやすくなってしまい、人によっては足の甲までパンパンに腫れてしまいます。
不安に感じるかもしれませんが、1か月を目途にむくみは徐々に治まっていくでしょう。
なるべく水分を取ったり、マッサージをしたりしてむくみを緩和させましょう。
少しでもむくみを楽にして、生まれた赤ちゃんと楽しく過ごしてくださいね。